無題
2026-01-23 22:02:03
「んっ、ふ……ぁ、あっ……!」
薄暗く、ぼんやりとした中で、やけにはっきり、声だけが聞こえる。
大好きな人の、聞いたこともないような、甲高く、色のある声。
「あっ、あっ、あ……っ!」
視界ははっきりしないし、よく見えない。大好きな隼人が近くにいるはずなのに、ぼんやりとした光景だけ。全身が溶けそうなほどの熱に包まれ、浮かされて。そのまま本能的に、欲望を叩きつけるように、四季は腰を動かしていた。まるで、穿つように、自分のものだと言わんばかりに。
でもどこか、これでいいのか。
そう思ってしまう気持ちも、あった。
激辛カップ麺を食べた時とはまた違う、心地よく刺激的な熱さ。それでもどこか、気が晴れない、モヤモヤした気持ちが残っている。それでも、隼人ともっと先に、気持ちよくなりたくて、一心に、穿つように腰を動かす。
「あっ、あ、も、や、いく、いく、……っ、あ、あぁ----ッ!!!」
隼人の感情が素直に声になったような、大きな喘ぎ声の音量に頭がいっぱいになる。そうして四季の意識も高められ、頂点に達した瞬間に――目を覚ました。
(……この前の、ハヤトっち……)
ぼーっとした寝起きの頭で、やっとこれが夢だったとわかった。下半身も少し勃っていた。我ながらハイパー単純だな、なんて少し呆れながら、四季は朝の支度を始める。早くに目が覚めたから、珍しく遅刻はしなさそうだ。
四季と隼人の交際は、下心や性欲とは一切無縁な、ピュアな「アコガレ」から発展したはずの清くてかわいらしい初心なお付き合い――のつもりだったが、現実はそうもいかなかった。
買ったばかりの派手パンを白濁で汚して目覚めた朝は、大層なショックを受けた。アコガレだったはずの隼人に、これまでの人生で今まで感じることのなかった性的な気持ちを抱いていたのかと。四季がそれから長いこと思い悩み隼人との仲が少し気まずくなったのも、少し前。長い自問自答の末に、隼人への劣情をあっさり認めてしまえば、そこまで後ろめたさとか罪悪感とかを気にすることは、すっかりなくなっていた。
そんな気持ちの折り合いがついて暫くした頃に、四季はその胸の内を隼人に打ち明けた。隼人と付き合い始めてからに性的な欲望を持っていることや、触りたい、キスしたい、その先まで行きたい、と。それを聞いた隼人は今までにないくらいに驚き戸惑っていが、四季がやりたいことなら、俺も一緒に体験したい、と四季の正直な気持ちと欲望を受け取ってくれた。優しくあったかい隼人らしい返答を聞いて、やっぱりオレの大好きな、優しくて眩しいハヤトっちだ――そう、四季は納得し、嬉しくなった。
そうして触れ合いや、キスなどと順調に段階を進め、重ねてた四季と隼人がついに「初夜」を迎えたのは、今から1か月前のこと。
本当に、繊細で壊れやすいなものに触るくらいには優しく事を進めていたつもりだった。前戯も長めに行い、四季のモノを受け容れるための隼人の体の準備も、付け焼刃なりに調べた通りに、入念に行ったつもりだった。ただ、準備の際に垣間見た、今まで見たことのないような隼人のあられもない姿に劣情を掻き立てられてしまい、気持ちだけが先走ってしまった。
意を決して挿入した後も、ついに辿り着いた隼人のナカがこれまで味わったことないほどに想像以上に気持ちよかったことで、早く絶頂を迎えたいという気持ちが強くなり、最中に聞こえた隼人の苦しそうな声をよそに、四季は必死に腰を動かすことが止まらなかった。ただ夢中に隼人の奥底に自身の一部を埋め、気持ちよさと快楽を求めて動いている最中、四季は何も考えられないほどに刺激的で、味わったことのない経験だった。
熱っぽく虚ろな視線で四季を見つめる隼人の表情が、そして、繋がっているところの熱の気持ちよさは、あれからずっと頭人凝っている。自分の動きに関しては、もう何が何だかわからず、ただ、気持ちよくなりたい、という一心だった。
息も絶え絶えのまま行為を終え、ベッドで息を整えている時に、それまで聞いたことのなかった隼人の荒い息と少し嗄れた声が、耳に入った。その瞬間、四季の胸には一気に後悔が押し寄せてきた。なんだかいけないことをしてしまった、大変なことをしてしまった、と。
恐る恐る「気持ち良かった?」と隼人に聞いても、ん、とかあー……、と力のない言葉が聞こえたくらいだった。それがまた、四季を不安にさせた。
(ハヤトっちは付き合ってくれたのに、オレの独りよがりになってしまった、かもしれない)
ごめんなさい。
自分でも見たことないほどに大きく膨らみそそり立ったモノを受け容れることの大きな負担に疲れたのか、ひと足さきに眠りに落ちた隼人の穏やかな寝顔を見ながら、四季は大きな反省と後悔を残したまま、後片付けを進めたのだった。
(一体、どうすればよかったんだろう)
テスト前で授業も早く終わり、部活も休止期間で、アイドルの仕事も学業を優先してしばらく入っていない。隼人と顔を合わせる機会は当然減っている。仕事はなくてもどこか勉強できるところに行きたくて、四季は事務所に顔を出していた。事務所にいた賢にテスト勉強をしたいと声をかけると、彼は快くロビーを使うことを許してくれた。
それでも、思い出すのはあの初夜のことばかりで、なかなか勉強にも身が入らない。旬からは赤点を回避するように今回も口酸っぱく言われているし、補習して仕事に穴をあけるわけにもいかない。頑張らなきゃいけないのはわかっていても、そうもいかなくて。
(……そもそも、オレがこんなに誰かに対してエッチだなって思えたのは、ハヤトっちが初めてだし)
四季が聞いたことのある歳の割に背伸びをした恋愛話は、中学の頃に年上の先輩が話していたり、クラスメイトの会話で時折話題になることもあったが、四季にとっては、まるで解き方のわからない数学や理科の難しい問題のようにも思えていた。わからないから、興味が持てないのと同じ。隼人と付き合い出してからやっと、その手の話に少しだけ興味を持ち始めたのだった。アイドルという立場上、友達にも言えることはなかったが。
聞き慣れた声で、ひとり悶々と考えていた四季だったが、それは誰かの呼びかけでストップした。
「……シキ?」
会えると思っていなかった相手の声に、幻聴が聞こえてきたと一瞬四季は思ったが、それは現実だった。制服姿のハヤトが、勉強してる四季の向かいに座って、心配そうに顔を覗き込んでいる。
「ハヤト、っち!?」
「テスト勉強、進んでないみたいだけど大丈夫か? 今回も赤点回避するっすー!……なんて、言ってたのにさ」
「わかってるっすよ、ただ、なかなか手に着かなくて」
自分を心配してくれる隼人に、ああこれは現実なんだと思ったと同時に、先ほどまで考えていたことを思い出し少し四季は後ろめたくなる。
「ハヤトっち、ここ最近は仕事ないはずなのに、なんで事務所に?」
「プロデューサーから連絡があって、資料を取りに寄ったんだ。なんだか久しぶりだな」
「そうっすね! メガ嬉しい偶然っす!」
こうして偶然に約束もなく会えるなんて、やっぱりオレたちは運命で繋がった相手なんじゃないかと、考える。そんな運命の相手と、そういうことになってしまっていいのか、とも思うが。そう思い、四季はふと、意を決して、隼人を誘うことにした。
「……ハヤトっち。これから時間、大丈夫っすか?」
「え、時間?」
四季にそう聞かれて、隼人は自身のスマホで予定を確認する。
「えーと……今日はこの後何もないから、大丈夫だけど。家でテスト勉強しようかと思ってたくらいだし」
「それなら決まりっすね! 早速行くっすよー!」
「え、どこに!?」
「ふたりでやるっす、勉強会! あと、話したいこともあるっす!」
早速筆記用具や教科書などをリュックにしまいこむ。隼人の腕を掴んで、ダッシュで事務所から駆け出した。まるで隼人と会えるのが嬉しい、と思えるように。
「到着っすー!」
「……勉強って、ここで?」
四季が隼人を連れてきた場所は、カラオケ店だった。勉強会、と聞いて連れられた場所に、隼人は明らかに難色を示したような表情だ。
「い、いつもと違う店だし、勉強とか、気分転換にもいいかな……って」
「いや、そもそも勉強に適してないんじゃ……!?」
隼人の真っ当なツッコミをよそに、四季はカラオケの入店手続きを手早く済ませてしまう。誰にも聞かれる心配のない会話ができる場所といったら、四季の中ではカラオケ店の個室しか思い浮かばなかった。事務所から一番近いいつもメンバーともよく行く店を避け、敢えてひと駅先にあるあまり顔を出さないようなカラオケ店を選んでいたのは、これから相談することにもどこか後ろめたさがあったからだ。
店員に案内され、部屋に入室する。さっきまでの元気さとは打って変わって少し緊張してしまう。こうして2人っきりで顔を見合わせて話すなんて、それこそこの前の夜以来だった。途端にしおらしくなってしまう。
「えーと。話したいこと、って、カラオケで?」
「ちょっと、事務所とか、学校とかで話しづらいことで」
「ま、まさか、別れ話とか……?」
「そ、そんなわけじゃ、ないっすけど……」
予想外の隼人の返答に、四季は少しだけドキッとする。別れたい、なんてあの時の一夜で隼人に言われたらどうしようかと。ポジティブな四季がそう考えるほど、自信のないことだった。
「ハヤトっち……この前、気持ちよかったっすか?」
「え、この前って……?」
この前と言われ、なんなのかわかってないようにも見えた。唾を飲み込んで、四季は隼人の目を見て真剣な表情に伝える。
「先週のセックス」
「セッ……!?」
隼人は大層、驚いた様子だ。一度だけとはいえやることをやっておきながら、何を今更恥ずかしがるんだろう、と四季は不思議だった。そんな初心な姿の隼人もとても愛おしいが。
「なんで驚くことがあるんすか。オレたち付き合って、初体験も済ませているのに」
「だって、シキからそんな言葉聞くの……慣れなくて、恥ずかしくて」
モテたい、と常に言っているとは思えないくらい、隼人は純粋でピュアで、下心、というものが一切ない。こういう少しだけエッチな話にも、まだ早いと顔を赤らめてしまうほどで。初夜を済ませてもその様子は変わらないところをみて。
「……シキの顔見ただけで、ちょっと思い出して、ヤバかった」
「正直に言うっす。……本当は嫌だったっすか? オレとセックスするの」
四季はとても「マジ」な表情だ。
「い、嫌じゃ、なかったけど……」
隼人はもじもじしながら、言葉に詰まる。
「……あの時のシキ、なんか……怖くって」
「こ、こわ!?」
隼人の予想外の言葉に、四季はとても驚いた。だって、隼人が自分によそよそしくなっていたのが、こんな理由とは。自分がそう見えていると言われていると、なんだかドキッとするが。
「それはマジメガ予想外っす。オレとしては、ハイパー優しくしてたつもりだったんすけど……」
「うん、最初は優しかったのがわかったよ。ゆっくり時間かけてたし……でも、その……」
隼人は下を向いて、途端に口ごもってしまう。まるで口に出すことをためらっているように四季には見えた。
「……上下にピストンしてる時が、怖くて。勢い任せっていうか、なんかちょっと、本能的っていうか」
「動きもすごかったし、息も荒くて、顔も……今まで見たことのないようなシキで」
「オレ、そんなにがっついてたっすか!?」
「……うん」
確信をもって頷いた隼人を見て、四季は大層なショックを受けた。優しく、ゆっくりと抱いたはずだったのに、真逆に見えていたなんて。
「でも、この前セックスした後に、気持ちよくなかった、って言ってた、気が……」
「……へ?」
隼人は一体何のことだろう、と不思議そうだ。そんなこと聞いたっけ、と言いたそうな。
「終わった後、気持ちよかった、って聞いたのに、何も言わなかったから……」
「あれは……疲れてて寝ちゃったからあまり覚えてなくて」
「ハヤトっち、少し苦しそうだったし……オレも、なんかもう、ワケわかんなく、なってたし」
「まだよくわかんなかったかな……でも、嫌じゃ、なかった」
嫌じゃなかった。あんなに拙く、自己中心的だと思ったセックスでも、隼人は四季のことを受け入れてくれている。嘘やごまかすことが何よりも苦手な、正直者の隼人がそう言うのなら、本当にそうなのだろう。
「マジっすか、それ!?」
「うん、マジ!」
隼人は少し恥じらいながらも、そう肯定していた。
「ハヤトっち、今夜、お家にお邪魔してもいいっすか?」
「え、今から⁉」
「ここまで話しておいて、このまま解散ってのも、ハイパー勿体ないと思うっすよ」
「そ、それは……俺も、自然な流れだと思うけど、今からはさすがに無理だって! 兄貴も家にいるし……シキ、最初からまさかそれ狙ってた?」
「そ、そんなんじゃないっすよ!」
あわよくば、と思ってたことはあるが、実際はそこまで考えてはいなかったのが本当で。
「今は無理でも、もう1回、やりたいっす。ハヤトっちとの大事な初めてを、このままモヤモヤしたまんまじゃ終われないっす」
一世一代、一生のお願い。そんな覚悟の上だった。きっと隼人に拒絶されるかもしれない。それで、恋人関係からただのアイドル仲間で先輩と後輩の関係になっても、よかったのだ。
「シキ……それなら、いいよ。今度、予定が開いたらな!」
「約束っすよ!」
「あ、勿論今度の期末テストが終わってからな!」
「そう言うと思ったっす……!」
いつになるかもわからないような約束だが、隼人との大事なもう1回。それだけで四季は、すべて頑張れる、と思ったのだった。
約束の日は、思ったよりも早くにやってきた。
期末テストが終わった翌日に、隼人の兄の不在の日が上手く重なったのだ。
テスト期間の部活休止期間が明けた久しぶりの軽音部のセッションは、下校時間ぎりぎりまで続いた。明日は午後からだが、久しぶりのアイドルの仕事もある。
「くーっ! 今日のセッションもハイパーメガマックスサイコーだったっすー!」
「ちょっと四季くん、声が大きいですよ」
「まあいいじゃん。オレ達、久々の部活だったしさ」
ここ最近はテスト期間のユーウツさや隼人との初夜に関するモヤモヤもあったが、晴れた清々しい気持ちで、いっぱい歌うことが出来た。
隼人にぴったりとくっついている四季の様子を見て、夏来がふと、声をかけた。
「シキ……今日は、ハヤトと、一緒、なんだね……」
「へへーん、今日オレたち、ナイショのデートなんで!」
「へえー、オレ達に抜け駆けで?」
「言い方悪いっすよ、ハルナっち!」
「はは、冗談だって。打ち上げならオレも行きたいけど、これから母ちゃんと久々に出かけるからなー」
「そっかー。なら、今度は5人揃って、テストの打ち上げしようぜ!」
「そうだな、打ち上げドーナツパーティするか!」
盛り上がる春名や四季、隼人を横目に、旬が釘を刺すように忠告する。
「明日は午後から久しぶりの仕事です。ハヤトも四季くんも、あまり羽目を外しすぎないでくださいね」
「わかったよ、ジュン。羽目はあんまり外さないように、シキのこと見てるから!」
「じゃ、先輩たちまた明日! バイバイシュー!」
「うん、また明日……仕事で、会おうね……」
仲睦まじく肩を並べて帰る隼人と四季の後姿を、春名たちは微笑ましく見送った。
四季が隼人の家に行く初めてではないが、こんなに緊張したのは初めてだ。
隼人は四季を招き入れ、手短に夕食や入浴を済ませようとしていた。どこかそわそわした様子で。急ぎ過ぎてないっすか、とからかったら、すぐ隼人に否定された。その割には大分バレバレだったが。
そんなこんなでお互い入浴を済ませ、リビングから隼人の自室に移動する。
最初は隼人がいつも使っているロフトベッドにふたりで上がったが、いざ身体を預けるとギシ、と相当大きな音を立てたことに怯んでしまったため、ベッドを使うことは断念した。ラグだけを敷いた床も、身体中が痛くなりそうだと思い、隼人に頼んで敷布団を2人分出してもらった。
いつものリュックは布団のそばに――このために用意した、必要なものもしっかり入っている。
すーっっと深呼吸をして、四季は隼人の目の前に、正座して座った。向かい合って座った隼人も同じように正座している。
(ハヤトっち、この前よりもメガ緊張してるように見える)
隼人の手が少しだけ震えているのは、期待なのか、恐怖なのか。一度だけ経験済みとは思えないほどにすごく緊張している様子が、四季からも見て取れた。
しばらくは赤面しながら向かい合ってたが、やっぱりどう進めればいいのかわからず、お互い固まってしまう。行為に及ぶ流れやムードなんて、青い2人にはまだまだ未知の世界で。たった1回の行為だけで、簡単に用量を掴むことなんて到底無理な話だ。
「……最初はやっぱり、触り合いからがいいんすかね?」
「いや、俺に聞かれても……」
「そうっすよね、ハヤトっちそこまで詳しくないし」
「……それは否定しないけど、なんだかちょっと傷つく……」
いつものように軽口をたたき合うと、隼人も少しだけ、緊張がほぐれたようにも見える。それを見ながら、四季は意を決して隼人によびかけた。
「じゃ……お邪魔するっす」
「あ、ちょっと待って、シキ」
隼人はどこかバツが悪そうな表情で、自分の身体に触れそうな四季の左手首を掴んで制止した。まさかの行動に、四季は少しだけ震えた。
「どうしたっすか? ここまで行って、やっぱダメーはナシっすよ」
「いや、そうじゃないけど…………電気、消した方がいい気がする」
天井を恐る恐る指しながら、気まずそうに切り出す。四季は正直拍子抜けした。今の隼人の部屋は白色の照明が最大の明るさで照らしている。確かにこういうことをするのなら、全灯よりも薄い灯りの方がムードが良いということは、四季はわかっていた。けれど隼人の部屋にはそんな薄灯りを照らせそうなものなんて無くて。目立つところにあるのなら、机の上にある白色LEDのスタンドライトくらいだ。
「えー、でも真っ暗だと、ハヤトっちのことが良く見えないっす」
「シキはいいと思うけどさ……これから恥ずかしいよ、俺が」
「恥ずかしがってるメガ可愛いハヤトっちが見られるから、オレとしてはアリっすけどね」
「えぇー、俺は、それで困ってるのに……!」
結局、譲歩の末に、電気を常夜灯に切り替えた上に隼人の勉強机のスタンドライトだけをつけることにした。明るいLEDのスタンドライトはやや不釣り合いだが、部屋全体の白色光よりは、まだマシだろう。
「じゃ、触るっすよ」
「う、うん……!」
そっと、隼人の身体に四季の左手が延ばされる。少しだけ、指先がふる、と震える。
四季と隼人のとっての大事な「初夜」が、もう一度、はじまった。
*
「……っ、は、ぁ……」
「きもちいいっすか」
「ん、っ……」
ねっとりとしたキスを繰り返すのにも、だんだん慣れてきた。唇の柔らかな感触と絡む熱を確かめ合うようにキスを繰り返して、体温がだんだんと高められていく。
緊張しながらの触り合いから始めていった戯れはだんだんと興が乗っていき、下着以外なにも身に着けていなかった。ただ触り合うだけなのに気持ちよくなるなんて、四季にはにわかに信じがたいことだと思っていた。でも現にこうして、隼人に触れることが愛おしくてたまらない。恋は盲目とどこかで聞いたことはあるが、今ならその言葉の意味もわかるような気がする。いまだに胸や鎖骨が気持ちよくはならなかったので、これはさすがに1回のセックスで変わるような事ではないことは、わかった。
まだ布越しではあるが、隼人の下半身はとても熱い。それは、自分のもまたそうだった。早く直に触れたくなって、隼人のパンツを脱がせると、もうはちきれんばかりの逸物が顔を出す。まだ完勃ちしていないが、触っているだけどこんなになるなんて。息をのみながら、四季は自身の派手パンも下ろす。いわゆる「勝負パンツ」として選んだお気に入りの1枚は、先走りで染みが少しついていた。
「ね、一緒に、きもちよくならないっすか?」
「……一緒に?」
戸惑っている隼人をよそに、そのまま対面の姿勢になり、お互い半端に勃っている自身を左手で包み込む。こうして直に触れあって、気持ちよくなることなんて、この前の初夜にはしなかったことだった。そのまま、優しく包んだ左手を、上下に動かす。まだまだ拙い愛撫ではあるが、これまでの前戯で高められた隼人にとってはこの触れ合いも気持ちいいようで、少しずつ喘ぎが漏れてくる。
「や、ちょ、あ、あ……っ」
「ん……これ、メガヤバ……っ」
ぬちっ、ぬちっ、と粘着質な音に高められて、すぐに気持ちよくなってしまう。
「シキ、ま、あ、で、っ……」
「ハヤトっち、苦しそうだから1回出した方がよさそっすね」
「あっ、や、あ、――っ!!」
切なく、甲高い声とともに、隼人は絶頂を迎えた。勢いよく、白濁が飛び散る光景を、四季は薄暗い視界の中で、焼き付けるように見つめていた。
「やばっ……すげー、よかった……っす……」
お互いの身体に飛び散った隼人の精液を拭きとっている間も隼人は肩で息をし続けていた。体力を消耗したわけではなく、ただ許容を超えた快楽に少しわけがわからなくなっているだけなのだろう。
(触り合うだけでこれなのに……この先どうなってしまうんだろう、ハヤトっち)
四季はごくり、と唾を飲み込む。だが、このテンションで先に進めるとあの初夜みたいになってしまいそうだったので、ここまでに留めておいた。今日はとにかく、ゆっくり、優しく進めるつもりだから。そう、自分自身に言い聞かせた。
隼人の呼吸が落ち着いてきたところで仰向けにして、脚を両側にガバリと開く。結構大きく両脚が開かれても、隼人はキツそうなそぶりもしない。
「……ハヤトっちって、結構体柔らかいっすよね。オレ、ここまでは脚開かないかも」
「そうかな? 別に特別なことはしてないんだけど」
ライブで大きく足を開脚し全力でジャンプした姿が話題になったこともあった。1人だけジャンプ力と可動域がすごい、なんて少しだけバズっていたことを、四季は一瞬だけ思い出す。そんなことを考えながら隼人の顔を見ると、どこかよそよそしく両手で顔を覆っている。
「ていうか、ちょっとこの体制、恥ずかしい……」
「今更っすか? 何度かやったら慣れてくるはずっすよ、多分」
「えー、そんなもの、なのかな……?」
どこか不安そうな隼人をよそに、四季はいつも通学に使っているリュックサックの中身を探り、お目当てのものを取り出した。ピンクのプラスチック製の丸みを帯びた蓋がついた、ペットボトルより少し小さめな半透明のピンク色の容器。今日この夜のために、四季が通販で「パケ買い」した、ローションだった。
「シキ、まさかそれ、今日ずっと持ち歩いてたの……?」
「いつどこでハヤトっちとセックスしたくなるか、わからないっすからね」
「ええー……それに俺達アイドルだからこんなの持ち歩くのは、ちょっと……」
下卑たパッケージのローションを持ち歩くアイドルなんて、イメージダウンも甚だしい。メンバーやプロデューサーにも、そしてファンの信用にも関わってしまう。
「大丈夫っすよ。誰にも気づかれないようにリュックの奥に隠してたから」
「いや、そういう問題じゃないって!」
「わかった、今度からはやめるっすから」
なんておしゃべりの間に、四季はキャップを開けてローションの中身を左手に少量とり、温める。薄明かりの中でも、ローションのピンク色が目立つ。ここまでの綺麗なピンク色だとは、正直購入した時点では思わなかった。
「このローション、感度アップするヤツらしいっすね。本当かわかんないけど」
「かん……なに?」
「エッチになる効果があるってことっすよ」
「え、えっ……!? 俺、そうなるの怖いって」
「大丈夫っすよ、オレがいるし、怖くないと思うっす」
「そ、そんなんでいいのかな……」
「全然いいっすよ。もっとオレだけに、エッチなハヤトっち、見せてほしいっす」
まだどこか恥じらいのある隼人に、四季は諭すように話す。ローションを纏わせた左手の人差し指を、隼人の尻の奥まったところにある後孔に、ゆっくりと塗り込む。温めたはずのローションが冷たかったのか、指が孔に触れた瞬間、隼人はひっ、と驚くような声をあげたが、四季にとってはこれから隼人がどうなってしまうのか見たい、という少しの好奇心もあった。そのままゆっくり、左手の人差し指を、挿入して、ゆっくり動かしてみる。
「慣らすの、大丈夫っすか」
「正直、まだ、慣れない」
「我慢してほしいっす」
隼人が気持ちよさを感じる一点のことは、よく覚えていない。感覚に任せていればそのうちなんとかなるだろう、と、指を進めていく。だんだん弄って、余裕が出てきたところで、順調に指を増やしていく。この時は初夜の経験を覚えていたので、四季としてとてもすんなり上手くいくことができた。
「ハヤトっち、指、増えてるけど、どうっすか」
「……っ」
痛くはないようだが、気持ちいいのかどうなのかは、よくわかっていないようだった。ただ下半身に感じている奇妙な感覚と戦っているようにも見える。怪しいローションで感度が上がっているのかも、いまいちよくわからない。
こうしてゆっくりと慣らすことを続けていたが、だんだんとすべりが良くなってきたのか、3本指を入れても滑らかに動くようにはなって来た。そろそろからと覚悟した四季は、隼人の後孔から、ゆっくりと指を抜く。ローションでぬめった指が、ちゅぽ、という音とともに引き抜かれた。
隼人も同じようだということは、ぶるりと震えた隼人自身の動きで、察することが出来た。
(えろ……)
そんな姿を見てしまえば、半端に勃ち上がっていた四季自身も、すっかり準備が出来ていて。ティッシュでローションを拭きとった四季は、あらかじめ枕元に置いていた箱からコンドームをひとつ取り出し、手早く自身に被せていく。初夜はもたもたしてしまったが、こっそり1人で練習していたため、今度は素早くつけられることができた。ローションを取り出し、滑りを浴してから、四季は仰向けの隼人に覆いかぶさるような体制になり、温かく開ききった後孔のフチに、ぴたりとつける。ピンク色なのが、とても扇情的だ。
四季は隼人に目線を合わせ、様子をうかがう。
「ハヤトっち……」
「うん、いいよ、シキ、……来て」
入れてもいいか、と確認する前に、目を見ながらすべてをわかった様な覚悟のうえで、隼人は四季の目を見て、頷きながら言葉を返す。すう、はあ、と息を吸ってから、そっと優しく、四季は隼人のナカに自身を埋め込む。
「ん、う、うう……っ」
快楽とは程遠いような、うめくような声。一瞬怯んでしまったが、隼人のためを思って、ゆっくりと体内へ、埋めていく。
「ん、きつ、い……っ」
「シキ……もっと、ゆっくり……」
「はい、っす……!」
ちゃんと、初めての頃より念入りに、時間をかけて。
あの時は初めて知った、隼人のナカの熱にほぼ浮かされるままだった。でも今日は違う。
隼人を――いや、隼人と一緒に気持ちよくなるためだけに。そのことだけを、四季は考えていた。
亀頭がすっぽりと埋まったところで、四季は隼人の顔を見る。やっぱり苦しそうな様子を見て、いったん動きを止める。これ以上入れてしまうと隼人の身体にも負担がかかってしまうだろう。そんなことまで考えられることに、どこか頭の片隅で感心していた。
(ああ、オレは、あの時、大事にできてなかった、かもしれない)
正直、ここまでじっくり出来る余裕なんて、なかった。少しずつだけれど、2回目で成長している。そう考えている最中に、隼人が弱く、四季の腕を引っ張る。何か伝えたいことがあるように。
「ハヤト、っち……?」
「シキ……ちょっと、き、つ」
「だいじょーぶ。オレと一緒に、深呼吸……する、っす……!」
「え……? う、ん」
すーっ、はーっ。お互いに、ゆっくり息を吸って、吐き出す。大きな呼吸の音がふたり、部屋の中で重なる。そうして何度か深くゆっくりとした深呼吸を繰り返して、少しずつ四季は自身を、隼人の孔のナカの熱いところに埋め込んでいく。
(落ち着け、オレ。ゆっくり、優しく……)
刺激的なナカの熱さに、気持ちや体が早急に動かないように。この深呼吸は隼人の緊張を緩める目的もあったが、気持ちを落ち着けるために自分自身に言い聞かせるように行っていた。
そうしてゆっくりとお互い深呼吸を繰り返しながら、挿入を進めていくと、ぴったりと股間同士がくっつくまで入った。おそらくここが、限界なのだろう。
「奥まで、入った……っす……」
「ほ、ほんと……?」
「うん……わかるっすか、ここに、オレのがあるの。多分、このあたりだと思うんすけど……」
そう言いながら、隼人の下腹部を、四季は愛おしそうに撫でる。ひとつになっている場所。
「まじで……」
「マジっすよ。オレたち、ひとつになれたっす」
「初めてじゃないけど……今、めっちゃ、気持ちいい……」
隼人はやや苦しそうだが、なんだかどこか満足そうな表情だ。この前の初夜では、こんな戯れ合いなんてなかったし、そもそもそんな余裕すらなかった。ただ痺れるような気持ちよさに支配され、隼人の様子なんてあまり見えてなかったのかもしれない。
(そりゃ、怖いって言われるよな、あんなに動いていると)
前は自身を埋めたらそのまま勢いに任せて動いていた気がするが、気遣わなければいけないと思い、ずっと動かないままでいたが、そろそろ続きをしなければ。下で組み敷かれた隼人はしばらくは浅い呼吸を繰り返していたが、だんだんと呼吸が落ち着いてきた。
「シキ……俺は大丈夫、だから……動いて、いいよ」
「はい、っす」
隼人に促されるまでに、四季は律動を始める。根元まで埋まった自身を、ゆっくりと抜いていく。亀頭が引っかかる辺りまで抜いたら、力を込めて、奥までゆっくりと戻す。本当は最初から早めに動かしたかったが、隼人のためを思うと、動きがゆっくりになってしまう。今日はずっとこのぎこちないピストンを、何度か繰り返す方が良い気もしていた。
(正直、ハイパー難しい、これ……)
「シキ、ちょっと、もどかしい……」
隼人はゆるゆると動く四季の腰に、手持無沙汰だった両手を添える。もっと埋めてほしい、と言わんばかりに。
「この前みたいに……もっと、激しく、して、いいから……っ」
そう息も絶え絶えに、紅潮した頬で、目を潤めながら、隼人は四季に訴えかける。
それは四季が今まで見たことないような隼人の姿で。
「ちょっと……ハヤトっち、それは……エロすぎ、っすよ……!」
「はぇ……?」
「どうなっても、知らない、っすよ……!」
四季の理性なんて、とっくに焼ききれていた。
拙いかもしれないが、隼人の身体の奥底に隠れている気持ちが良いところに触って、引き摺り出すように、無我夢中でピストン運動を繰り返した。
「あっ、やっ、あっ、あっ!」
「ハヤトっち……! すき、だいすき、っ、す……!」
「俺、も、好き……っ! あっ、ああっ!!」
喘ぎ声が、だんだんと大きくなる。声なんてお構いなしに。誰もいない隼人の家に、大きすぎる声が響く。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。
動かせば動かすほどに、肉同士がぶつかる独特の音が静かな家の中に響く。それに呼応するように、隼人のナカも、きゅうっと締め付けるように狭くなる。埋まった四季のモノを、掴んで離さないように。正直きつくて少し動かしづらさはあるが、四季の中ではそれよりもまず、気持ちいい、といった心地が勝っていた。
四季に激しく揺さぶられながら隼人の中心が、天を向いたまま小刻みに震えてきた。絶頂が近くなっている合図だ。隼人のナカの締め付けが強くなっていく。この調子だと、一緒に気持ちよくなれそうだ。
ふたりなら、きっとこの先でも、どこまでも――。
四季の中では無根拠なそんな自信がなぜかあった。
「あ、あ、ン、ん、っ……!」
「ハヤト、っち……んっ、んんっ、!」
「あっ、い、く……っ!」
「はあ、あっ、んっ、んっ、あ、あぁっ!!」
ひときわ大きな声を上げて、ふたりは、絶頂を迎えていた。
はあっ、はあっ、と大きく息をするのは、どっちの呼吸なのかもわからない。それくらいにも何も考えられなくなる。
どくん、どくんと大きく響いている心臓の音と、下半身を締められた熱くてぬめっとした感覚で、四季の頭はもう、真白になった。
*
「ハヤトっち……お尻、大丈夫っすか」
「ん……まだ違和感あるけど、大丈夫……」
激しい絶頂の余韻がすっかりと抜けてから、生まれたままの姿で、敷布団の上でふたりは寝っ転がる。隼人のロフトベッドから布団を持っていきたかったが、疲れ切ったふたりには難しかった。こんなに裸でいると、もう少し寒い時期なら風邪をひいてしまうだろうが、不思議とまだ体の熱が消えない。
気持ちと気持ちをぶつけ合い、やっと気持ちも、身体も、すべてひとつになることが出来た。四季だけでなく、隼人も大きな達成感に包まれているようで。
受け入れる側は、違和感が強いと聞いたことがあるが、四季よりも体力がある隼人がここまで消耗している姿を見るのは初めてだった。きついレッスンをやり切ったあとの疲労とも、大きなライブをやり切った後の達成感も混じったような疲労とも、また違うような。
「ね、ハヤトっち……怖かったっすか、今日のオレ」
この前、隼人に怖い、と言われてから、四季はとても後悔した。テストの勉強もあったが、そういう知識もわからないなりに身に着けていたつもりだった。それで隼人を気持ちよく出来たかはわからないけど、少なくとも四季としてはこの前の初夜よりも、もっと、とても、気持ちよい、と素直に感じられたものだった。
「……怖くなかった」
「じゃあ、ハイパー優しかったっすか?」
「……そこまでは、いかないかな」
「正直過ぎるっすよ、ハヤトっち」
「……でも、前より良かった」
前より、という言葉でやっぱり四季は胸がちくっとしてしまう。初夜は彼の中ではやっぱり少し、ほろ苦い。でも、今日の仕切り直しは、大きな達成感があった。隼人もどこか、前よりも満たされているようにも見えた。(もちろん疲れているようにも見えたが)
「正直、ハイパー疲れたっすけど……またハヤトっちと、できるならやりたいっす」
「俺も……セックスするって、こんな良かったんだって、初めて思った」
「オレもっす。激辛カップ麺食べた時よりも、ハイパーメガマックス刺激的で……」
いわゆるピロートークって、これでいいのかもわからない。セックスした後の甘くだるいような空気も、そんなものなのか、2人はわかったなかった。
「これは、初めて話すことなんすけど……オレ、ハヤトっちと付き合い始めた時はこんなことすると思わなかったっす」
四季はぽろりと、話し出す。あんなに気持ちの良いセックスをして、気持ちが通じ合った後にする話ではない、ということはわかっていたけど、それでも、隼人にも伝えておきたいと思ったのか。
「え、そうなの? てっきり早く、俺とこういうこともやりたいのかな、って思ってた」
「そうなんすか?」
「うん。シキだって、こんなこと考えてたのかな、って」
「そんなんじゃないっすよ! オレがここまで考えたのは、ハヤトっちが初めてで」
「そうなの? なんか恥ずかしいな」
隼人は照れているが、どこか嬉しさを隠せないように言葉を返した。
「ハヤトっちが、オレをここまで変えたんすよ」
なんだか、前にも似たようなことを、どこかで隼人に言ったことがある。そう四季は思い出した。まさか、ここまで変えられることになるとは思わなかったけれど。
「……これから、慣れていくのかな。俺も、エッチなことに」
しばらくそのまま何も言わずに布団の上でふれあいを続けていたが、唐突に隼人は下腹部に手を当てながら、そう言った。違和感が少しあるというが、今の隼人はどう感じているのだろうか。少なくとも、四季にはわからない、未知の経験だ。
「ハヤトっちは、ずっとウブいままでいいと思うっすよ」
「そう?」
「寧ろエッチに慣れきってしまったハヤトっちって、なんかオレとしては……無しってゆーか」
「お前も正直だな!? でも俺も、こんなことに慣れきっちゃうところは想像できない……」
今の四季と隼人には、そんな先の未來なんてことは想像は出来ない。でもこれがきっと、大人になるってことなのかもしれない、なんて四季は考えていた。
「また、今日みたいに優しくしたいっす」
「うん、ありがと」
「何回あってもサイコーじゃないすか、初夜って」
「それは、初夜とは言えないんじゃ……」
「はは、それもそうっすね」
正直で、ぎこちないまま、不器用に。そんな感じでふたりは大人への階段を登っていくのだろう。
背徳的な、甘くて辛い、刺激的な秘密を、きっとこれからも重ねていく。
(以下あとがき)
いつかは書いてみたかった初夜リベンジです。初夜失敗からのリベンジが好きです(自己紹介)
なんだか書いているとエッチシーンが本編になってしまいました。突発本なので許してください。
エッチの時もお互いを思いやって優しさいっぱいで進めてほしーって気持ちを込めました。